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エッセイ・コラム

私はあなたの私じゃない。

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先ほど、気分転換にネットサーフィンをしていたら過去の恋愛に悩んでいる女性に対して『この曲を聴いてみて』という回答を読み、軽い気持ちで聴いてみた。


その曲は男性視点の歌詞で、別れた恋人が偶然地下鉄のホームの反対側にいて、その彼女が手を振ってきた、という状況から始まる。
自分も手を振り返そうとしたけれど、何故かポケットに突っ込んだ手が出ない。
そうこうしているうちに電車はホームに滑り込み、乗り込んだ。
動き出した電車の中から振り返り、彼女を見ると彼女がとても小さく見えた…


そこからその男性の心情が詠われて行くが、結果的に「僕はもしも君にまた一緒にいようと言われてもそれに頷くことは出来ない
僕はもう君の僕ではなく、君はもう僕の君じゃない」というような言葉で締めくくられていた。



その曲を聴いて、何故か感傷的な気分になった。

私は恋愛において笑ったり泣いたりは誰とも同じようにしてきただろうけれど、きっとのめり込み、「彼しかいないんだ」と心の底から思ったことがないのだろうと思う。

十代の頃には、何故そういう気持ちになれないのだろう。一度でもいいから自分を見失う程の恋をしてみたいと願ったこともあるけれど、実際にそんなことが起きればもう懲り懲りだ、と思ってしまった。




姉に言わせれば、「紗綾ちゃんは簡単に相手を諦め過ぎなのよ。『そういえばあの彼とどうなってるの?』って訊くといつもきょとんとした顔をして『え?誰のこと?○○くん?それとも××くん?どっちにしても終わってるけど』なんてさらっと言う子だったもん。羨ましいとも思ったけど、ちょっと呆れてた」という、チープな青春を謳歌した少女時代だったらしい。


そんな風に他者から評価される程の、プアな恋愛もいいとこなものしか経験していないのかもしれないが、本人はいつも至って真剣で、笑って泣いて忙しい。
ただ、心のどこかで恋愛が全てだとは思っていないのだと思う。
それだけのことなのだと思う。



今でも時々は思い出す、過去に付き合った男性がいる。
彼のその笑顔に惹きつけられて恋心を持ったような気がする。
彼が笑っていると自分も楽しくなる。
くだらない話で笑い、彼の笑顔にまたつられて笑ってしまう。
そんな彼が大好きだった。


彼とは紆余曲折を経て、結果的に私に初めてプロポーズをしてくれた男性となった。

だけど彼と一緒に過ごした2年間の間にはとてもたくさんのことがあり。
私には、彼と一生を過ごすことは選択できなかった。


私の心から、彼への気持ちの何が、いつの間に零れ落ちたのだろう。
その最初の原因は明らかではあったけれど。
原因は何であれ、私たちは、自分達の気持ちを確かめ合うことが出来ないままうやむやを貫いてしまったのだ。


きちんと話し合えば良かったのかもしれない。
彼が怒って「もうその話はいいじゃないか」と吐き捨てるように言うなら、私も怒り返せば良かったのかもしれない。
だけどそのときの私は何故かそうは出来なかった。


それでも彼のことは変わらずに好きだと思っていた。
だけど、好きという気持ちが少しずつ少しずつ、変化していったような気がする。
そして「紗綾と結婚したいと考えているんだ」と言われたときに、初めて自分の本当の気持ちに気付いたのだ。

そのときにはもう、彼に触れられることさえ出来なくなっていたのに。



彼の涙は私の心に突き刺さった。
男の人が、同情を誘う為でなく、ただ悲しいという感情から溢れる涙を流すのを初めて見たからなのかもしれない。
2年間、好きだと思い続けていた彼の涙だったからなのかもしれない。


理由は分からないけれど、どうにか彼の気持ちを穏やかにしてあげたいと思ってしまった。
そんなことを私が考えたって何も生むはずなどないのに。


つい、言ってしまった。

「ねぇ? 私はこれまでと同じようにはあなたの傍にはいられないけど、あなたが私の顔を見たいとか、話がしたいとか思ったときにはいつでも呼び出してくれていいよ。私は、あなたのことが嫌いになった訳じゃないから。

あなたが少しずつ、この関係は終わったんだと理解できるようになる日が来るまで、何度でも呼び出していいよ」

と。

今考えれば、これほど残酷な言葉はあるだろうか。
もしも逆の立場だったなら私はどう思うだろう。


受け容れられないのなら、変に優しくなんてしないでよ
そんなことを言うなら、やり直すことを考えてよ

そう、叫んでいたかもしれない。


それくらい、馬鹿なことを言ったのだと思う。


その後、彼は時々電話を掛けてきた。
「どうしてる? もう、他に付き合ってる人はいるの?」
というようなことを毎回訊かれていたような気がする。

私は他に好きな人がいた訳でもなかったし、それはないよといつも答えていた。


時には誘われて食事もした。
そうすればそのたびに「自分の悪かったところは反省するし、不満は全部言ってくれていい。これから紗綾を泣かすようなことは絶対にしないから」と言って、やり直せないかと言われ続けた。

そして私も、毎回同じ言葉を繰り返す。

「もう、終わったんだよ。
あなたが寂しいのであれば、苦しいのであれば、私と逢いたいと思ってくれるのであれば、私はあなたに逢うけれど、でもそれは好きだからじゃないの。
ゆっくりでもいいから、終わったんだと認識して欲しいからなの」


そして彼はまた私の心に突き刺さる涙を流す。
でも、彼の痛みのほんの少しでも、私も痛むべきだと思っていた。
私も苦しむべきだと思っていた。
これだけひとを悲しませ、傷つけたのだから。

それでも彼の前で涙を流すことだけは決してしてはいけないことだと思ってはいたけれど。



そのうち、彼からの連絡も少なくなってきた。
私から連絡をしたことはなかった。

そして完全に彼からの連絡が途絶えて程なくして、ある機会があり、彼の親友の男性と逢うことがあった。


そのときに、彼の親友は言った。
「紗綾も罪な女だよなぁ。あいつをあそこまで落ち込ませるなんて。しばらくは見てられないくらいだったよ」

「うん……。悪かったとは、思ってるけど。
でも、彼は今どうしてるの?」

「気になるの?」

「それは……もちろん。元気でいて欲しいとは、思うから。
嫌いになって別れたんじゃないもん」

「じゃあなんで寄りを戻してあげなかったの?」

「……一生を、考えたから。これから先、ずっと一緒にいると思ったときに、彼じゃないと思ったから。
それなら、彼は早くもっと素敵な人と出逢うべきだと思ったから」

彼の親友は「そっか」と言った後に、「でもそれは正解だったかもよ」と言った。

「今はあいつ、凄く可愛い女の子と付き合ってるから。結婚するかもしれないとも言ってた」

そう言って笑った。

私はその言葉を聞いて、心底ほっとした。

「良かった。素敵な人と出逢えたんだね」

「そうだね、あいつはべたぼれみたいだし。紗綾はそれを聞いて、残念だったとか思わないの?」

そう訊かれたときに、何故そんな質問をされているのだろうかと思った。
残念だなんて思うはずがない。
心から彼の幸せを願っていたのだから。

「それはないかな。彼が幸せになってくれるならそれでいいもん」

「そんなことを言うのは、紗綾にもう他の男がいるからなの?」

「いないけど」

「じゃあ俺と付き合わない?」


驚いた。そういえばこの人も彼女と別れたばかりだった。


「私とあなたが付き合ったらきっとあなたの親友が嫌な気分になるじゃない。私は彼を悲しませるようなことはもうしたくないの。だから無理」

笑って言うと、彼も冗談だよ、と言わんばかりの笑顔で「だよなあ」と言った。



最後にオチをつけてくれてありがとうね、と思ったけれど、その、彼の親友とも交流を絶った。
多分、彼も私がその男性と交流が続いていると知ったら気分は良くないだろうと思ったから。
そして、私も彼も、お互いのその後は知らなくていいと思ったから。




私はもうあなたの私ではなく
あなたはもう私のあなたじゃない



あの頃の私は、そんな言葉を探していたのかもしれない。

今も、彼は変わらず可愛らしい女の子と一緒に幸せな時間を過ごしているのだろうか。
きっと、そうであると思いたい。

彼の恋は成就して、もう終わらないものであって欲しいと願う。



彼は、とても好い人だったから。





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~ Comment ~

 

主旨とずれたコメントになってしまいますが、自分も紗綾さんの経験に似ているところがあるな、と思いました。
どこか恋愛に対して、冷めてるというか、馬鹿にしてるわけではないけど、のめりこめきれない、簡単に人を信頼できいない質というか。
自分自身の心底の本当の気持ちを見るよりも、相手の気持ちにあわせたり、受け入れることで、相手が喜んでくれることで、満足する。
自分はそういう人間でありたい、という理想もあるから、そうしていたのかもしれませんが、でも、それはどこか上から目線で、理性で恋愛をコントロールできている自分に安心するためだったのかもしれません。結局は、自分の姿は綺麗事で、生涯出会うことのないであろう自分の生命に刻まれるほどの愛情と信頼を注いでくれた相手を失ってしまいました。

互いに自分をさらけだしあって、それを認めあって成長を重ねていくことが、相手にも自分にも誠実な恋愛、結婚と繋がっていくのでしょうね。

お話してくれてありがとうございます。 

ぢぢぃさん

コメントを下さいましてありがとうございました。
私の文章を読んでご自身の過去を思い出しし、そしてこうしてコメントという形でお話して下さったことに感謝します。

ぢぢぃさんのコメントを拝見させて頂くと、過去の恋愛からは既に離れていて、もう心の整理もついていらっしゃる状態なのかなと推察されます。

ですがその状況の中にいたときには随分思い悩み、また苦しんだのだろうとも思いました。
ご自身を振り返り、また相手のことも思い。
つらかったでしょうね……。

そういうご経験をされていながらも、今では前を向き別のものを見て生きていらっしゃるのだろうと思うと、畏敬の念すら抱きます。

誠実、という言葉は時にとても難しい言葉になりますが、自分が卑屈になることなく、そして相手を尊重することができて、認め合い、成長を重ねていくことが出来たら本当に素晴らしいでしょうね。

ぢぢぃさんのご意見には私もまったく同感です。

どうかこれからもぢぢぃさんの現在の幸せが続いていくといいなと心から願います。

コメントを書いて下さってありがとうございました。
本当に嬉しかったです。^^
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